先週、Veo3.1がリリースされました。残念なことに全然話題になっていませんが、それは妥当です。今回のVeo3.1はVeo3のマイナーアップデートですから、話題性のある新機能や大幅なコスト削減などもありません。iPhoneかよ。
概要
Veo3.1は2025年10月16日にリリースされたGoogleの動画生成モデルです。Veo3の細かな不満を解消したモデルで、確かに使い勝手はVeo3を明らかに上回ります。そうは言っても、特別新しい機能が追加されているわけではないので残念ながら面白みのないモデルです。前モデルからの変化点は、Nano bananaのように複数の素材画像をリファレンスして動画化することができること、アスペクト比の自由度が少し上がったこと、音声の改善などです。60sの動画延長もありますが、これは使い物にならないので割愛します。
Veo3を振り返る
Veo3.1を理解する前に、まずは前モデルであるVeo3を把握する必要があります。Veo3は2025年5月にリリースされた動画生成モデルで、当時としては唯一の音声統合生成に対応するモデルでした。生成された動画は物理的な破綻が少なく、音質も良かったのでVeo3は大きな話題を呼びました。そんなVeo3にも当然弱点があります。生成動画のアスペクト比は16:9 or 9:16のみで、image to videoでは元の画像が一部クロップされます。また、使用コストも圧倒的に高く、Veo3は市場で最も高価な動画生成モデルとなりました。実写系においては文句ない画質を担保する一方で、アニメ系においては特筆するほど良い画質は期待できませんでした。それでもVeo3は市場のハイエンドモデルであり、唯一の音声統合生成モデルでしたので暫くの間Veo3は動画生成モデルの覇権を取っていましたが、残念ながら最近のWan2.5にはコスト面で敗北し、そのすぐ後にSora2がリリースされてVeo3の影は薄くなっていました。
Veo3.1の進化点
結論から言えば、Veo3.1はそんなに進化していません。名前がVeo3.5でもVeo4でもないことからもそれは明らかです。Google側もやはりマイナーアップデート版としてこのモデルを位置付けています。主な進化点は先述の通り、Nano bananaのように複数の素材画像をリファレンスして動画化することができること、アスペクト比の自由度が少し上がったこと、音声の改善などです。明確に便利なのは動画素材のリファレンスです。単純なimage to videoとは異なり、入力する各画像を背景/被写体/詳細として参照できます。まぁNano bananaがある以上一度Nano bananaで画像を作ってからImage to videoに渡しても全く支障はないんですが、Veoに統合されればステップが減るので便利といえば便利です。Veoの進化というよりNano bananaの技術の一部を転用しているようにも感じますが、そこは触れないでおきましょう。市場価値を大きく左右する音質ですが、残念ながらVeo3とそんなに変わりません。少なくともスマホのスピーカーや3.5mmオーディオジャックから出力するオーディオ機器で聴いている限りは大差ありません。
市場に対する価値
ではこのVeo3.1は動画生成市場でどれほどの価値があるモデルなのでしょうか?お察しの通り、Veo3のマイナーアップデートモデルであるVeo3.1は動画生成市場においてはVeo3と完全に競合します。モデルの使用感はVeo3と大差ありませんし、特に革新的な付加価値もありません。さらに、APIコストはStandard版Fast版ともにVeo3と全く同じなのです。安くなってないんかい。それならVeo3.1の価値は”新しいこと”です。Wan2.5やSora2が大きな話題を呼んでいる中、Veoもなんとか話題性を維持するために新しいモデルをリリースしたのでしょうか。まるでiPhone SEのような売り方。
Veo3から乗り換えるか?
では既存のVeo3ユーザーがVeo3.1に乗り換えるべきかどうかを考えましょう。前述した通り、Veo3とVeo3.1のAPIコストは全く同じです。であればわざわざ乗り換える理由はないのですが、逆に乗り換えない理由もありません。少しだけですがVeo3から進化しているポイントがあるので、乗り換えにユーザー側の学習コストが掛からない以上はVeo3.1をメインで使って問題ないと思います。SeaArtに限った話をするなら、どういうわけかVeo3.1の消費算力はVeo3に比べて格段に安くなっています。謎。ですから、SeaArtでメインに使う前提の下ではVeo3.1は良い選択肢でしょう。執筆時点では1回の生成に対して556算力を消費しますが、これは直接換算で1ドルに満たない値です。安い!乗り換えましょう!Veo3は1回あたり約7000算力を消費するので、これは破格です。
まとめ
以上、Veo3.1をご紹介しました。目を見張るような付加価値はありませんが、実用的で高性能なモデルだと評価します。SeaArtにおいてはVeo3.1自体が非常に安いので、安いVeoの代替としてのWan2.5の立場がなくなりますね。Veo3のコストに悩まされている方にはぜひお試しいただきたいモデルです。





