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PSYCHO DRIVERS ~蒼き惑星の守護神~ Act.1 救世主はフリーター

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飛
飛鳥時代
Actualizado el Aug 16, 2025
12

~地球~


飛来する流星

轟音と共に地上へ落下する流星


山間部の道路を一台の軽自動車が走る


「あー………遅くなっちまった………。ん?」


森の隙間から見える淡い光

(なんだ、アレ? 森の奥で、何か光ってる………事故車か?)


………タスケテ………

車を停車させ路肩に寄せる


キーを抜いて車から降りる青年


【霧嶋 飛鳥 25歳 男性 軽急便配送業(派遣社員)】



飛鳥「おーい、無事かー?」


飛鳥「あ?」


??? ((タスケテ………))

脳裏に直接テレパシーで救いを求めてくる菱形の地球外生命体らしき結晶


飛鳥「テレパシーか………!?」

(これは………未確認的な宇宙人的なアレか?)

??? ((タスケテ………!!))


飛鳥「困ってるのか? 助けてってもな。どうしろって………」


飛鳥「取り敢えず連れて(?)帰るか………犬猫拾う気分だな………。」

呟きながら結晶体を救い上げる飛鳥。その瞬間、脳裏に新たなイメージが過る。


飛鳥「!?」


飛鳥(今のは………!?)

???(タスケテ………!!)

それと共に周囲から近づいて来る集団の気配に気づき、飛鳥は草影へと身を隠す。

飛鳥の視界に見えてくる黒い武装集団の姿。


飛鳥(何かヤバイ奴らに追われてるのか………!!)

黒の武装集団「ここら辺に落ちた筈だ!! よく探せ!!」

飛鳥(奴らに見つからない様に車まで戻らな………)


飛鳥(鍵ぃいいいいいいいいいいいいいいい!?)

草むらに車の鍵を落としていた事に気付く飛鳥。


飛鳥(クッ………もう少しで届きそうなんだけど………)


飛鳥(届けぇ!!)

刹那、見えない力で車のカギが手の中に吸い込まれる。

離れた位置から引き寄せられた鍵に唖然とする飛鳥


飛鳥(………!?)

飛鳥(コイツの力か………!?)

そのまま武装集団の目を掻い潜り森の中を離脱すると、飛鳥は手早く車に乗り込んだ。


静かに車を発進させ無事に脱出する飛鳥


飛鳥「お前、名前は?」


??? ((ナ……マエ………))

飛鳥「名前………無いのか?」



飛鳥「じゃあ、"ヒューイ"って呼ぶよ。」

車のキーをヒュインと引き寄せた現象から安直に命名する飛鳥。そんな飛鳥から貰った

名前をヒューイは反芻する


ヒューイ((………ヒューイ………))



この出逢いによって宇宙の命運が大きく変わる事を、

彼はまだ知る由もなかった



電磁測定器で周囲を計測しながら飛鳥の車が止まっていた場所へ辿り着く

黒い武装集団。

武装集団「まだ遠くには行っていない筈だ。探せ!!」



飛鳥「俺はアスカ。霧嶋 飛鳥だ。宜しくな、ヒューイ。」



丸富軽急便・本社



飛鳥「お疲れ様でーす。」

従業員「はーい、お疲れぇ~。」


従業員A「派遣社員は早く帰れて良いなぁ………。」

従業員B「羨ましいよ。」


「あははははは。」


飛鳥(俺より給料貰ってるだろ。しっかり働けよ正社員様。)

そのまま帰宅の途に就く飛鳥



メゾン"カネナッサ荘"


飛鳥「しっかし………」


飛鳥「おぉー………ホントに浮いてるんだな。ヒューイパワーって奴か………。」

念動力の力を色々と試しながら飛鳥はヒューイについて思慮を巡らせる


飛鳥「狙われてる理由は多分コレなんだろうな………。」

ヒューイとの接触で念動力の力を手に入れた事を朧気に悟る飛鳥


飛鳥(アイツラ変な機材持ってたよな。此処まで追って来そうだな………。

そもそもアイツラ一体何だ? 司法機関の関係者って訳でも無さそうだったな。

徽章の類が付いて無かった………カムフラージュされてたが手に持っていた

銃火器類はアサルトライフル………。)


飛鳥(ヒューイから頭に流れ込んできたイメージも悪者に対する恐怖心の感じが

強かったしな………。)

頭の中で思慮を巡らせながら飛鳥はヒューイを気遣う。ヒューイが生命体であるのなら

生命維持には食事の補給が必要不可欠となる。


飛鳥「ヒューイ、腹減って無いか? ………メシ食うのかな、コレ。」



近所のコンビニエンスストア

店員「ありがとうございましたー。」

飛鳥(コンソメスープのお湯にでも浸けてみるか………。)


???「面白い事考えますね。」


???「でも、意味が無いと思います。コンソメスープを摂取するのは流石に無理かと。」

突如として現れた女性に思考を完全に読み当てられて飛鳥に緊張が走る。



飛鳥(頭の中を読まれた………ヤバくないかコレ………)

ゆっくりと後ずさり間合いを開きながら眼前の女性を警戒する飛鳥。

飛鳥「女から口説かれたのは産まれて初めてだよ。でも、女が"夜道を一人で歩く"のは

感心しねえな?」

???「すごいですね。動揺してるのに状況分析しながら違う会話で探りを入れるなんて

私も初めて見ました。そうですね………貴方は手強そうなのでご指摘通り

"仲間を連れて来るべきだった"かも知れません。」

彼女が黒い武装集団の追跡者であると仮定するとヒューイの特性も把握されている。となると

恐らくこちらの情報は8割前後が筒抜けになっている可能性が高い。状況は不利だがこの

やりとりで彼女の思考が読める能力とこの場に単独で乗り込んで来たという情報だけは聴き出す事

が出来た。飛鳥はこの不利な状況を仕切り直すべく即座に離脱を選択する。


飛鳥(間違いない、思考が読まれてるッ!!)

身を翻し躊躇なく逃走を図る飛鳥。その決断の早さに女性は半ば感心しながらも追跡を試みる。


???「逃がしません………。」


街の中を駆ける飛鳥


大型街頭モニターのアナウンサー:

『続いてのニュースです。今夜、最接近で見所を迎える流星群ですが午後22:00から22:30頃

にかけて最も接近し星空を彩る見通しです。気温は低くなる予想で………』


視界に飛び込むビル脇の路地

路地を抜けようと飛鳥は駆け込む


飛鳥(袋小路………!!)


飛鳥「すごいな………こんな事も出来るのか………。」

 逃げていたつもりが思考を誘導されて袋小路に追い詰められた事を悟る飛鳥。

相手の思考を操作できる能力を目の当たりにして脅威を感じ、振り返る。



???「ちょっと驚きました。確かに思考誘導で貴方を袋小路に誘い込みました………けど………

"ワザと"誘い込まれました………?」


飛鳥「人目の無い場所なら色々聞かせてくれそうだったからな。」


飛鳥「お前ら何者だ? 何故コイツを狙う?」


???「それは………」


???「………やめましょう。」



彼女が能力を解放し辺り一帯が特殊なテリトリーに包まれる

特殊な領域に捕らわれる飛鳥

飛鳥「これは………!?」


???「これから"記憶を失う人"に説明するのは無駄でしょうし、あまり此処で時間を

掛けると"彼ら"に追いつかれて面倒ですから。悪く思わないで下さい。早急に終わらせます。」


 彼女が戦闘態勢に入ったと見て取った飛鳥は即座に念動力で応戦する。背後の

ダストボックスを念動力で浮かせて跳ばし放つ。

飛鳥(行けッ!!)

飛鳥の放ったダストボックスは放物線を描いて彼女を飛び越え後方へ飛んでいく。

???(サイコキネシス!?)

飛鳥(外した!? いや違う、狙いを"逸らされた"のか!!)

???「やっぱり………"アーリアン"との接触でESPに覚醒し始めてましたか………。」

飛鳥への精神攻撃による反撃

飛鳥(力が………抜けていく………!?)

急激に四肢の力を失う飛鳥。そのまま為す術無く地面に崩れ落ちていく。

???「神経伝達を抑えました。今日1日の記憶を操作します。」

飛鳥(ちょっと待てよ、意味が解らないぞ………この女、超能力が使えるみたいだけど………)


飛鳥(ヒューイの手助け無しでこんな強いのかよ………!?)


飛鳥(じゃあ、一体………何の為にヒューイを狙ってるんだ!?)

???(アーリアンを、救おうと………してる………?)

飛鳥の思考を読み取り戸惑いを感じる謎の女性。その理由を探るべく飛鳥の記憶を

テレパシーの能力で遡行していく。

お母様はお気の毒ですが、もう………

アスカ君………ごめんねぇ………

もう………貴方を迎えに来てくれる人は………ね………


お母さん……助けてあげられなくって………ごめん……………

???「………………。」

彼女はテレパスによる記憶遡行で飛鳥が何故ヒューイを救おうとするのか、飛鳥の

優しさに触れて胸の奥に過る痛みと共にその理由を悟った。


???「安心して下さい………。」


???「"家族"の元へ………帰すだけですから………。」


飛鳥(あぁ………そうか………)

飛鳥(ヒューイにとっての"助けて"っていうのは……………)


ヒューイ ((タスケテ!!))

 

突如として二人の脳裏に走るヒューイからの警鐘

突然二人を襲う爆風、女性は咄嗟に飛鳥を庇う様に覆い被さり身を挺して飛鳥を守る。

爆風の衝撃で路地の奥へ弾き飛ばされるヒューイ。

何者かの足元へ転がり落ちるヒューイ

???「ターゲット見ぃ~っけ。」

敵「"アクシズ"、チョロくね? マジバカじゃん♪」

黒い武装集団「ターゲット確保!!」

ヒューイを拾い上げる赤いキャップの男性。その周囲を黒い武装集団が取り巻く。

飛鳥「オイ!? 無事か!?」

???「何…とか………」

爆風で背中を焼かれながらも気丈に答える彼女の姿で飛鳥は彼女と黒い武装集団が

別な勢力の組織である事を暗に察した。飛鳥は彼女が思考を読み取れる事を利用し

思考の中で彼女と意思疎通を図る。



飛鳥(俺の拘束を解け。アイツラ悪者だろ? ヒューイを奪還する!!)

???(!!)

飛鳥「黒メット………お前ら何なんだ?」

時間を稼ぐかの様に武装集団へ視線を向けたまま問いかける飛鳥。赤いキャップの男は

得意げに飛鳥へと答えた。


???「俺らは"ラスト・バタリオン"。」

???「コイツらを解剖・研究して人類様の役に立たせる正義の組織って奴だ。」

中指でヒューイを叩きながら得意げに宣う敵の能力者。悲痛な救いを求めるヒューイの

テレパシーが飛鳥達に届く。

ヒューイ ((アスカ、タスケテ!! タスケテェ!!))

???「ま、オレはそっちの女で女体の研究にでも精を出しとくかな。」

下卑た笑みで舐めまわす様に女性を眺めまわす赤いキャップの男。



???「!!」

彼女の脳裏に敵の思い描く不快な末路のイメージが過る。

刹那、黒い武装集団に驚愕の事態が巻き起こった。

黒い武装集団「ギャア!?」 「ぐァア!!」


黒い武装集団「うああああああああああ!?」

黒い武装集団「ぎやあああああああああああああ!!」

飛鳥「胸クソ悪ぃ事言ってる暇があんならとっととヒューイを返せクズ野郎……!!」

拘束を解かれた飛鳥が全身から念動力の力を立ち昇らせて立ち上がり、凄まじい威圧感が

放たれる。黒い武装集団十数名が一瞬で戦闘不能に陥った。プロテクターの隙間を正確無比

に念動力で貫通され、全員が内臓を破砕され声も出せずにその場に横たわる。

???「!!」

この事態に彼女は驚嘆し息を吞んだ。一般的な超能力の使い手が能力を発動させるには

平均で30秒前後の所要時間と集中力を必要とする。だが今の飛鳥の念動力はコンマ1秒で

発動し、正確無比なコントロールで武装集団のプロテクターの隙間を捉えていた。この

事態に敵の能力者"ユージ"も驚愕し思わず気圧される。

ユージ「てめえ、オレを爆撃のユージと知った上で………」

飛鳥「仕事が遅いッ!!」

ユージ「ぎゃあああああああああああああああああ!!」

一切の躊躇なく念動力の特大衝撃波でユージを弾き飛ばしながら、同時に念動力でヒューイを

引き寄せて奪還する飛鳥。防御フィールドの展開すら間に合わずに衝撃波に呑まれ全身を

粉砕骨折させられたユージは、地面に叩き付けられ一撃で意識を失う。

飛鳥「ヒューイ、大丈夫か? デコピンなんてしやがってあの野郎ォ………!!」

ヒューイ ((アスカー♪))

???(相手が"サイコ・フィールド"でガードするよりも速く特大衝撃波の念動力で

粉砕しながらヒューイを引き寄せた………。もしも彼が念動力で私に攻撃していたら

とても防ぎきれなかった。そもそも最初からダストボックスなんて使わずに倒す気

で私に攻撃してきていたら、きっと私も………。)

???「私、手加減されてました?」

そう告げた彼女に飛鳥は淡々とヒューイを差し出し、事も無げに答える。

飛鳥「ヒューイがお前を信じたから話し合いに持ち込もうとしただけだ。途中経過は

どうであれ、お前は"対話"を選んだだろ? お前が接触してきた時、ヒューイは俺に

"タスケテ"とは言ってこなかった。ヒューイは何でもお見通しだ………。」

???(………あぁ、そうか………この人は……………)

???(誰よりもヒューイの言葉に耳を傾けて対話をしてる人なんだ………。)

飛鳥「ヒューイを家族の元に帰すんだろ? 行くぞ。」

???「はい………。」

飛鳥(名前、聞いて無かったな………。)

「ホラ、行くぞ………。」

名前を聞くタイミングを逸した飛鳥は名を呼ばずに濁して移動を促す。そんな飛鳥に

彼女は警戒心を緩めて己の名を告げる。

【織瀬 榛名 ( おりせ・はるな ) 24歳 女性 TYPE:テレパシスト(精神感応)】

榛名「榛名です………織瀬・榛名、榛名って呼んで下さい。"飛鳥"さん♪」

飛鳥「ん………。」

飛鳥は力強く頷いて応える。そのまま路地を出た所で不意に榛名が申し訳なさげに

呼びかけてくる。

榛名「でも、飛鳥さん………ごめんなさい。先程の戦闘で思いの外時間を取られて

しまったので、今からタクシーを捕まえても刻限に間に合うかどうか………。」

 榛名からのその懸念に飛鳥は淡々と言い放つ。

飛鳥「いや、公共交通機関は使わない。時間が無いのなら尚更な………。」

榛名「え………?」

そう告げて元のコンビニエンスストアまで辿り着いた飛鳥は確固たる表情で告げた。


飛鳥「"俺の車"で行く。目的地まで飛ばすから案内頼む。」


PM 21:40

S県北部山間・森林公園区

夜の峠道にエキゾーストノートの咆哮が響き渡る。水平対向エンジン特有の

重低音が夜の闇を切り裂いて山間部の林道を駆け抜けていく。


<TOYOTA 86GT(ZN6) ユーロエアロ・エディション>

飛鳥「もうすぐ目的地だけど、間に合いそうか?」

榛名「すごい………本当に、間に合うなんて………」


目的地に辿り着いた飛鳥は愛車を停めて榛名との会話を続ける。

飛鳥「獅子座流星群? ニュースでやってた今夜来るアレか?」

榛名「はい。ヒューイさんの"母群"にあたる地球外生命体の集団がそれなんです。」


榛名「私のテレパシーでチャネリングという方法を使ってヒューイさんの意思を増幅

して流星群に向けて跳ばします。そうすれば"向こう"から迎えが来る筈です。」

榛名がそう説明を終えた所で不意に通信音声が届く。


???『織瀬さん、お待たせしました。今からそちらに合流します。』

手首に巻かれたアップルウォッチの様な黒いリストバンドから聞こえる通信音声。

少し怒った素振りで榛名は返答を返す。

榛名「御影さん、遅いですよ! 私、危うく捕まる所だったんですからね! 私もう

山林公園に着いてますからっ!! 頼みますよっ!!」

御影『面目ない。すぐ行きます~~~。』

飛鳥「………………。」

飛鳥「仲間か?」

榛名「"仕事が遅い"………なんて飛鳥さんの請け売りですね☆」

苦笑しながら照れくさそうに告げる榛名。そんな榛名に飛鳥は穏やかに告げる。


飛鳥「身体張って仕事してるんだ、遠慮せず言いたい事言ってやれ。」


榛名「………はい。」


飛鳥「さぁ、そのお仲間とやらが来る前に仕事終わらせて置いてけぼりにしてやるか。」


単独行動させた仲間への仕返しとばっかりに意地悪な提案を持ち掛ける飛鳥。その脳裏で

何とも可愛らしいヒューイの家族を思い描く飛鳥の想像をテレパスで感じ取り、榛名は

なんだか心和んだ。思わずクスっと笑みが零れる榛名。

榛名「はい♪」


チャネリングでヒューイの意思を宇宙空間に向けて跳ばす榛名


同胞たちの元へ帰りたい望みを乗せてヒューイが懸命にテレパスを放つ

ヒューイの意思は地球から同胞たちへ向けて宇宙を駆け巡る。


榛名「もう、大丈夫。」

榛名はこれでヒューイが無事に帰還を果たせると安堵していた。


………その時だった………

 タ ス ケ テ ッ !!

 

飛鳥・榛名 ((このイメージは!?))

ソレは突然現れた

榛名(捕食者!!)

ヒューイから届いた最大級の恐怖心、その存在に気付いた榛名は青ざめた表情で周囲を確認する。

仲間達が行方を追って探索していた危険対象がまさか自分の側に迫っているとは思わず焦燥感に

飲み込まれる。それと同時に事態に気付いた指令本部からオペレーターの必死な通信音声が榛名

のアンクルへ届く。

オペレーター『織瀬班長、非常事態です!! 潜伏中だったH-008型ホスティリティ"ア・モーロソ"

の生体反応が確認されました!! その付近に隠れています!! 厳重警戒して下さい!!』

榛名(迂闊だった。ヒューイさん、御免なさい!!)

オペレーター『最初からランデブー・ポイントの座標を割り出していたのかも……

ア・モーロソはもしかしたら罠を張って待ち伏せしていたのかもしれません!!

地球に"落下させた"F-706アーリアンが助けを求めて群れを呼ぶこの瞬間を!!』



エ サ が 舞 い 込 む こ の 時 を ! !


榛名「………飛鳥さん、ヒューイさんをお願いします………」

決死の覚悟で飛鳥にヒューイを託そうとする榛名

榛名「仲間が来るまで私が何とか時間を稼ぎます。」


榛名「ア・モーロソの狙いはヒューイさんとそれを迎えに来るアーリアン達の捕食

………私が防ぎます!!」

飛鳥に言い聞かせる様に榛名は訴える。榛名の脳裏に届く、飛鳥の意思………

(ダメ、飛鳥さん!!)


飛鳥「その怪我で出来るのか?」

榛名「!!」

(飛鳥さん、ダメです!!)


飛鳥「ヒューイを家族に届ける為にテレパシーを発し続けながら、背中のその火傷の痛みに

耐えたままで、そのア・モーロソってのは戦える様な相手なのか?」

榛名「~~~~っ!!」

飛鳥の決意が榛名の胸を締め付ける。


榛名「でも、サイコ・テリトリーの張れない飛鳥さんでは分が悪すぎます!!

ア・モーロソは先程のラストバタリオンが差し向けて来た未熟な能力者とは訳が

違うんです!! 身体を"サイコ・フィールド"と呼ばれる防御膜で常時防御して

います。"サイコ・テリトリー"でそれを減衰させなければ飛鳥さんの念動力を

以てしても20%以下のダメージしか届かない!! 幾ら貴方でもそれでは………!!」


 ………殺されてしまう……それが解っていて飛鳥に託す事など榛名には出来なかった。

だが、榛名のそんな想いを承知の上で、飛鳥は告げた。


飛鳥「俺が闘(や)る。」


飛鳥「榛名、お前の説明と通信音声の内容で相手のヤバさは良く解った。でも俺が闘る。

榛名がもし負けたら俺もヒューイも、みんな助からない。お前の仲間が来て勝ちの目が

在るのなら、時間を稼ぐ役割は俺の方が適任だ。」


榛名(解ってた………貴方はそうやって最も危険で損な役に回る人だって………)

飛鳥「それにな………」

そっと手を伸ばし榛名の頭を優しく撫でる飛鳥。

飛鳥「5回殴れば俺が勝つ。信じろ。」


ヒューイ ((アスカー、ダイスキー!))

飛鳥「ヒューイはとっくに安心してるみたいだな。ホント、ヒューイは

"何でもお見通し"だな。」



ヒューイ ((アスカー))


ダイスキー

榛名の胸を脈打つ心臓の鼓動が響く

危険な気配を感じ取り飛び去る森の鳥達


榛名(それは、ただの気休めだったのかも知れない………。)


榛名(………だけど………)




PM 21:55

H-008 ホスティリティ エイリアン <ア・モーロソ>




ア・モーロソ「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」



時速120㎞の俊敏な突進力で大地を蹴るア・モーロソ。


飛鳥もまた咆哮を上げて大地を蹴る。発動する念動力、だがその力はア・モーロソではなく、

別なモノを捉えていた。


ア・モーロソの顔面に急激に纏わりつく落ち葉。



飛鳥の念動力が落ち葉を舞い上がらせてア・モーロソの視界を塞ぐ


視界を遮る落ち葉を咄嗟に利き腕で払い除けるア・モーロソ


一瞬の隙にア・モーロソの右肩を極めて迷う事無く肩骨をへし折りながら背骨の中枢、

心臓が在ると思われる位置に拳を一撃叩き付ける飛鳥。刹那、接触した拳から零距離接射

の念動破が撃ち込まれる。心臓を強い衝撃で打ち抜かれたア・モーロソは血液の循環が

一瞬だけ停止し、ア・モーロソは一瞬だけ身体の自由を失った。


完全に無防備となったア・モーロソの腰椎に電光石火で膝蹴りを叩き込む飛鳥。

念動力の衝撃波を込めたその一撃でア・モーロソの巨体が容易く浮き上がる。



膝蹴りで腰椎をへし折りながらの顎先への追撃の拳、訳も分からず慣性に翻弄されたまま

ア・モーロソの視界が歪む。


空中で回転しながら吹き飛ぶア・モーロソの軌道に併せて時速250kmの蒼い拳が大気を穿つ。

正確無比なコントロールで身体をバレルロールさせながら空に描く蒼い軌跡。流星の化身

であるヒューイから授かった力を顕現させたかの様な美しい弧を描き、その拳が無慈悲に

ア・モーロソの頭部に2度目の破壊をもたらす。眼前に迫る拳、それが、ア・モーロソが

最期に見た光景だった。


鈍い音を立てて頭部を粉砕する流星の拳、ア・モーロソは手も足も出せずに飛鳥によって

一方的に破壊された。榛名の説明にあったサイコ・フィールドの防御膜、体表を覆うそれを

掻い潜って威力を貫通させる為に、飛鳥は全ての念動破を打撃の接触による零距離速射で

防御膜の内側から叩き込んだのである。まさか接近戦で一方的に蹂躙されるとは思って

いなかったであろうア・モーロソ。眼は光を失い、頭部の外骨格が見るも無残に砕け散っていた。



飛鳥(やっぱり頭に重要器官が集中してやがったな。)

ゆっくりと身を起こし敵の殲滅を確認する飛鳥。


ヒューイ ((アスカー!))

飛鳥「おー、ヒューイこっちは片付いたぞ。そっちは無事だっ………」


 ダ イ ス キ ー ! !

振り返った飛鳥の無事な姿に思わず駆け寄って泣きながら抱き着く榛名。かくして飛鳥達は

無事に窮地を乗り越えた。



【安曇野 六花(あずみの・りっか) 21歳 女性 第6班 / 織瀬班 オペレーター】

六花「信じられない。一人であの獰猛な捕食者を倒すなんて………

ア・モーロソの念動出力、完全に沈黙しました………!! 先程の協力者"α"の

念動出力の計測数値、出ます………!!」



六花「瞬間最大出力、ご………580………kw!?」

解析結果に指令室がざわつき始める。

「ウソ、だろ………580 ?」


【麻生 弘美(あそう・ひろみ) 39歳 女性 TYPE:ハンドヒーリング / 治癒能力】

職員A「ラストバタリオンの"ナインズ・ウェポン"じゃないのか………!?」

職員B「通常の能力者の5倍以上だぞ………」

職員C「いや、でもそのラストバタリオンから織瀬を助けてるじゃないか………

何者なんだ………」

弘美「面白いわね………」


???「守護者ダ………」

弘美「あら………?」



弘美「Dr.ペイジ………。守護者って何………???」

ペイジ「弘美………タバコは臭いゾ。タバコは臭い………

弘美はクサイ。」


六花「………………。」

弘美「ペイジ………デリカシーって言葉知ってる?」

ペイジ「………???」


ペイジ「アーリアンには願いを叶える特性がある。この惑星に落とされたアーリアンが

"この惑星で最も自分を助けてくれる者"を願ったやもしれない。故に………」


弘美「潜在能力の最も高い地球人を引き当てた………!? それが協力者"α"って事………」


弘美(そいつは一度拝んでみたいものね………)

六花「織瀬さん、アーリアン群体の反応キャッチです。もうすぐ上空を通過しますので

ご準備を………!!」



榛名(ヒューイさん………私を信じてくれて、ありがとう。それから………)


榛名(………"ダイスキ"は二人だけの秘密ですよ。)

ヒューイ ((アスカー、ダイスキー!))

恥らいながらヒューイを優しくつつく榛名。


仲間のアーリアン達に引き寄せられて地上から成層圏へ一気に浮上していくヒューイ。

飛鳥と榛名は肩を並べてヒューイの旅立ちを見送り続ける。





アスカ………アリガトウ………………


家族と、元気にな………ヒューイ………………


榛名「………………。」


飛鳥「さて、と………。」


榛名「………………。」


飛鳥「………………。」


飛鳥「もう、してくれて良いぞ。記憶操作ってやつ………。」

飛鳥「子供の頃から星だの動物だのは好きだった。多分、此処に突っ立ってても疑問に思わないだろ。」

………消せる訳、無いじゃないですか………

飛鳥「あぁ、でも記憶を変えるなら配達の所から変えなきゃならないか。仕事サボった設定にしないと

私服と86の辻褄が合わないな。」

………貴方が、ヒューイさんと過ごした想い出を、奪える訳ないじゃないですか………

飛鳥「あ、コンソメ持って来っぱなしだった。多分コレが最大の謎になるな。榛名に追われてから

ポケットの中に入れっぱなしだった………。」

………私の事も、貴方の記憶に忘れずに残しておいて欲しいじゃないですか………

飛鳥「明日からまた何もない日常に戻るだけだ。気を遣わずにバッサリと………」


榛名「プロテクション(機密保護)………」

 

榛名「今夜の事を他言出来ない様に、思考にブロックを掛けました。くれぐれも秘密です。

"忘れないで" 下さいね。」

(もうこれ以上、貴方に悲しい想い出だけを残させたくは無いですから………)

御影『織瀬さん、お待たせ致しました。もう到着します。ア・モーロソは対処出来た

みたいですが、一応沖田君と相澤君も同行しています。』

再び榛名のアンクルに届く仲間からの通信。


榛名 ((もう、行って下さい飛鳥さん。後は私が。))

飛鳥(榛名? 急にテレパシー………)



手首のアンクルを指し示しながらテレパシーで語る榛名。

榛名((会話だと、みんなに聞かれちゃいますから。))

「ア・モーロソの回収と転送お願いします。」


飛鳥(怪我、大丈夫なのか? 病院まで送らなくて………)


飛鳥を見つめてそっと頷く榛名。


飛鳥は溜息を吐きつつ頷いて榛名のテレパシーに答える。

飛鳥(解った………でも、無理するなよ?)


ゆっくりと峠道を走り出す86GT。


飛鳥の車が視界から消えるまで榛名はその場に佇んでじっと見送り続ける。



【御影 誠也(みかげ・せいや) 男性 37歳 TYPE:サイコメトラー(残留思念探知)】

いつの間にか榛名の背後に辿り着いていた三人の人物。中央のスーツの男性、御影 誠也は

穏やかな物腰で榛名へと呼びかける。

御影「霧嶋 飛鳥さんはもう行ってしまわれましたか………。」



榛名「御影さん………」


榛名「ごめんなさい。彼は、飛鳥さんは記憶操作を免除してあげて下さい。私達の事を

口外しない様にはしましたから、だから………私が代わりに処罰を受けますから………。」

御影「処罰だなどと、そんな事は………」

しおらしく呼びかける榛名の様子に御影も気遣う様子で言葉を濁す。


「榛名さん、なんも知らねえの………? マジで? アンクル、オフってた?」

風船ガムを膨らませながらポニーテールの少年は思わせぶりに口を開く。


御影「須藤支局長からの指示で霧嶋 飛鳥君を我々"A.X.I.S"のメンバーに誘う事になりました。」

???「医課長の弘美サンがDr.ペイジと一緒に支局長の所へ直談判しに行ったんだってさ。」

???「榛名さん、その霧嶋って人が一人でアレ倒したって本当? なんか、マンガみたいだね。」

榛名「!!!!」



御影「無作法かとは思いましたが、ア・モーロソから"彼"を少しだけ観させて頂きました。」





御影「MAX出力が580kwという数値も桁外れですが、アベレージ360kwも規格外です。

サイコメトリーで視て解りましたが、彼は360前後の出力であの高速移動をしていた。」


榛名「………!!」



御影「織瀬さん、私も正直ものすごく興味があります。知覚系エイリアンのアーリアン

との接触で潜在的に持っていた超能力、サイコキネシスに目覚めたての霧嶋君が

"サイコフィールド"も"サイコテリトリー"も、それ所か"サイコドライブ"状態にすら

ならずに捕食者をあろう事か単独で逆狩りするとなると………ラストバタリオン最強の

9人………"ナインズ・ウェポン"に匹敵するか、もしくはそれ以上………」


御影「そんな彼の事をラストバタリオンが放っておくとも思えません。私も正直言って

麻生医課長に賛成です。織瀬さん、責任を感じると言うのなら彼に最も接触した貴方が

彼を説得して我々の元へ連れて来て下さい。」



榛名「はい!!」



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